fc2ブログ

ただ「巨人の星」ってそんな単純な話だったかという疑問が

131.jpg
帯書には「中島岳志+29人の叡智。」という気負った文言が踊ります。毎日新聞社刊『中島岳志的アジア対談』を読んでみました(^_^)
連載時にも読んでいましたが改めて読むと印象が変わった対談もあります。単行本にする際に加筆・訂正されたのでしょう。

そこで佐藤優氏の面白い発言を見つけました…というのが本記事のテーマです。対談のホストである北海道大学准教授の中島岳志氏はこの際あまり関係がありません(^_^;)
中島氏との対談で佐藤氏はなんとマンガ「巨人の星」の話を始めました。
かつては異色の外務官僚、その後は鈴木宗男事件に絡んで起訴。そして現在は最も活発に執筆活動をする評論家。佐藤優氏の人間観がうかがえます。

(引用はじめ)
(引用者注 「巨人の星」の)第一回は、長嶋茂雄の入団会見シーンがある。そこに突然ものすごい勢いでボールが飛んでくる。見ると、子供が目の中に炎を灯して復讐心に燃えている。これが星飛雄馬です。
 父親が読売巨人軍をリストラされたことを恨んでいるんです。それで、父親は子供をぶん殴ってちゃぶ台をひっくり返しながら、ウサギ跳びとか大リーグボール養成ギブスとか、全く科学的には意味のない、付くのは根性だけの教育をした。
 野球だけに特化したら強くはなりますよ。しかし、飛雄馬は独特の思いこみで突っ走る。だから、盟友・伴宙太との関係も自分独自の友情観と父親の入れ知恵で崩れ、姉と花形満の恋愛にも不当介入してゆく。
 あいつがかき回したために、周辺の人間関係はめちゃくちゃになる。それに加え本人も幸せというわけじゃなく、無理なピッチで投球しているから腕の腱を切り、ピッチャーとして使いものにならなくなって最終回。(中略)
 それを見て育った世代がそろそろ社会のトップになります。そういう人たちにどういう世界観が刷り込まれているのか、というのが気になりますからね。
(引用ここまで なお引用者の判断で改行を加えました)

実はこれは検察批判なのですが、そのことはここでは触れません。
偏見かもしれませんが、たしかに「巨人の星」ファンには一定の型があるような気がします。
権威に対する激しいコンプレックスを持ち、そのコンプレックスを糧に「ナニクソー」と頑張り、ついには権威にとって代わる…。
その権威は「巨人」であったり「金持ち」であったりするのですが、そういう生き方は自・他を不幸にするだけだと佐藤優氏は言っているわけです。
終わりない闘争への道ですもんね…(_ _)
体罰や行きすぎた根性論、そういうものは戦後も教育やサブカルチャーの中で生き続けているのです。「自己責任」論もその流れの上にあります。
たしか続編の「新・巨人の星」で星飛雄馬は右腕ピッチャーとして再起し、その後は円満な指導者として野球人生を全うしたのではなかったでしたか。
栄光のV9時代も終わり、最下位低迷も経験した巨人は星家にとって特別な存在ではなくなったということでしょう(^_^)

それでなんで「巨人」の「星」で「大リーグボール」なのかが分かりましたよ。あの「巨人」は実はアメリカ文化の比喩。星一徹は戦前の日本人そのものだったんですね。

ちなみに議員タレントの山本一太氏も「巨人の星」の大ファンでした。

冬の星 夜空にかかり 白い息

「ドラえも~ん、野球がうまくなりたいよ~」「ハイ!大リーグボール養成ギブス」
お粗末さまでした(^o^)
スポンサーサイト



テーマ : 日本人論 - ジャンル : 政治・経済

コメント

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)