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見たつもりで「長谷川等伯」

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妙高山の雪景色。妙高は新潟で一番美しい山と言われています。

長谷川等伯は安土桃山時代に活躍した日本画家。全くの無名の絵師から徒手空拳でのし上がり、当時主流だった狩野派と覇を競い合いました。
千利休との交友でも知られ、数多くの名品を残しています。
その没後400年を記念して東京国立博物館で開催している「特別展 『長谷川等伯』」良いなあ、羨ましいなぁ…見に行きたいなぁ~(^_^)
雪どけ水も長谷川等伯という人は何となく気になっていました。出身地石川県七尾市にも行ったことがあります。そこで何点か展示品を見ました。
長谷川等伯の最高傑作といえば墨で大胆に省略して書かれた国宝「松林図屏風」。それまで絢爛な画風で知られた絵師が、一点だけ侘びの極地とも言える作品を残しました。
書かれた目的も判然とせず、あまりに大胆な省略のため下絵説まである「松林図屏風」。日本絵画史のミステリーともいえる作品ですが、雪どけ水は見たことがありません(@_@。

今回の特別展にも行けそうにありませんが、ただ「松林図屏風」の写真はあちこちの媒体に発表されています。それで見たつもりになって、ちょっと感想を述べます(^^♪
展示された状態の写真を見て気が付いたことは、屏風の外枠が朱色であること。図録などでは外枠までは掲載しないことがほとんどなので今まで分かりませんでした。
紙の白と、墨の黒だけで書かれた作品なので、外枠の朱色は目立ちます。そして外枠の朱の部分だけが、かすかな温かみを帯びています。
これが当初からそうだったのか、それとも後代の修復によるものなのか、雪どけ水の知識では分かりませんが、この気付きによって作品に対するイメージがぐんと広がりました。
枯れ切った松林に、実は血が通っていたような、そんな雰囲気(^^)

もともと「松林図屏風」は早世した長男の追悼のために描かれたというのが通説。だから寂しげな絵になっているというわけですが、朱の漆が差されているとなれば話も別(^^♪
一見寂しげな凍りついた風景に、かすかに差す朱。目で見える世界の外枠に、もう一つ生命の世界があることの証しではないかと…。
等伯はこの絵を描くことで、亡くなった長男との再会を果たしたのではないでしょうか。
あるでしょう、故人の残した文字や絵を見ることで、故人の存在を身近に感じる時が(^^♪
現代に生きる私たちは、長谷川等伯に会うことも話すこともできませんが、その作品を見ることで等伯の息吹を感じ、その人格に接することができます。
同じように等伯も「松林図屏風」に取り掛かるうちに、自らのうちにある筆さばきや構図の取り方などから、亡き長男の存在を非常に身近に感じたのではないでしょうか。
あの作品は悲しみに暮れる姿ではなく、再会の喜びの歌だと考えると、等伯が残した数々の仏画との接点も見えてくるような気がします(^_^)
とはいえ実物は見ていないわけですから、いい気なものです(^_^)

我が背は長谷川(ワガセハハセガワ)

これから行かれる方は、代わりに見ておいてくださいm(_ _)m
お粗末さまでした(^o^)
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テーマ : 平和を願う - ジャンル : 政治・経済

コメント

主題は

ご無沙汰してます。
先月末に等伯を見てきました。
松林図からは、温もりと湿り気をおびた「命」のようなものを感じました。その点では花や草の金碧画と通底する世界なんだなぁ、と思いました。

kaseijinさんへ

> ご無沙汰してます。

いつもコメントありがとうございます(^^ゞ

実際に作品を見た人から感想をもらってうれしく思いました。温もりとそれから「湿り気」ですか。なるほど。
展示もあちこち巡回するらしいし、まだしばらくは「等伯」酔いが続きそうです。でもやっぱり本物を見たいなぁ…(^_^;)

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